不眠に悩んでいる人は実はとても多く、日本の成人の20%以上が不眠を自覚しています。その中でも5%程度の人が睡眠薬を常用しているのだそうです。
睡眠薬には抵抗がある方にお勧めの健康食品として高麗人参があります。
高麗人参は古くから様々な効果を期待して使われてきました。虚弱体質の改善や、疲労回復といった強壮作用。心臓や血圧に対する効果もあり、さらにストレスを緩和して、不眠に効く向精神作用も期待できます。
今回この不眠症と高麗人参の効果に関してまとめてみたいと思います。
不眠症の種類
不眠症にも色々な種類があって、その症状から3つに分類できます。
入眠障害
眠ろうと思っても目がさえて、なかなか寝付けずつらい思いをする。
中途覚醒
一旦眠ったものの夜中に何度も目が覚めてしまい、熟睡できない。
早朝覚醒
まだ暗い早朝に目が覚めてしまい、まだ眠りたいのに寝付けなくなってしまう。
こういった状態が3週間以上続くこと。また昼間に眠気が残ったり、朝起きたときに熟睡してすっきりした感じにならず体がつらい、などの日常生活で困ることが出てきた場合に治療が必要となってきます。不眠がひどくなると、注意力がなくなって、ミスが多くなったり、イライラしたりします。また、昼間の眠気から仕事中に居眠りをしてしまったり、運転中の居眠りから事故につながる例もあり、ひどくならないうちに対処する必要があります。
不眠症の原因
不眠症への対処を考える時に、原因がなにか把握する必要があります。原因にも様々あり、大まかに4つのカテゴリーに分類されます。
睡眠を妨害するものがある
睡眠をじゃまする具体的なものとして、うつ病、睡眠時無呼吸症候群、心血管系の疾患、むずむず足症候群といった治療が必要な病気や、騒音や光といった環境、心配事などのストレスといったものがあげられます。
ベッドの上で過ごす時間が長すぎる
平均睡眠時間は約7時間ですが、人によって必要な睡眠時間には差があります。必要以上の時間をベッドの上で過ごすと不眠が起こりやすくなります。眠れないからと言って布団の中でテレビを見たり、本を読んで起きているのは逆効果です。
生活リズムに乱れがあり、寝るべき時に寝ていない
普段の生活で寝床に入る時間の2から4時間前は、寝入りにくい体のリズムになっています。生活のリズムによって、寝入りやすい時間帯と目を覚ましやすい時間帯が決まってくるのです。生活リズムが乱れると寝入りにくくなり、すっきりと目覚められなくなります。
本当は眠れているのに眠れていないような気がする
なかなか寝付けないことが過剰に気になっていたり、不眠への恐怖、不安があるため実際に寝ている時間より短くしか寝ていないような気がすることがあります。
こういった様々な原因がある中で、高麗人参が効きやすい不眠は、ストレスによる不眠です。
高麗人参が不眠に効く
高麗人参は学名をPanax ginsengといい Panaxとは「万能」という意味です。オタネニンジンという植物の根を乾燥させたもので中枢興奮作用、中枢抑制作用、降圧作用、血糖降下作用、免疫増強作用、心循環作用、強壮作用、タンパク合成促進作用、疲労回復、血液凝固抑制作用、抗ストレス作用など、様々な薬理効果が報告されています。
高麗人参にはリラックス効果がある
特に不眠と関係がある効能としては、中枢神経抑制作用と抗ストレス作用です。言い換えれば、心身を穏やかにしてリラックスさせる効果といえるでしょう。
ストレスを受けると脳の下垂体が反応してホルモンを出します。このホルモンが副腎皮質に指令を出してストレスホルモンであるコルチゾールを分泌します。このコルチゾールが様々なストレス反応を引き起こすのですが、この反応を抑える効果が高麗人参にあることが、様々な研究の結果わかってきました。
不眠に効く注目成分ジンセノシド
高麗人参の主成分はサポニンの一種であるジンセノシドです。この注目成分ジンセノシドが、体内で腸内細菌によって分解され生成される「compound-K」の生理活性によって、不眠の原因となる不安やストレスが軽減されると考えられています。
発酵オタネニンジンを使った研究では、これを飲んだ一日目の夜から睡眠時間が長くなり、睡眠効率が良くなる、覚醒時間と中途覚醒回数が減るといった実際の効果が報告されました。
このcompound-Kにはその他にもアレルギーや腫瘍、糖尿病に対する効果も期待されています。
ジンセノシドは自律神経を調整する
ジンセノシドには自律神経に働いて、交感神経を刺激し体を元気にするトリオ―ル系と、副交感神経に作用して体をリラックスさせるジオール系の2種類のジンセノシドがあり、高麗人参にはこの両方がバランスよく含まれています。この二つが相互作用することによって、自律神経が適切に調整され、恒常性(正常(健康)な状態を維持しようとする体がもつ性質) が保たれます。
交感神経が強く働きすぎると興奮状態で寝つきが悪くなったり、イライラしたりするといった症状が出ることが考えられます。副交感神経の働きが強すぎると、だるさや疲労感、昼間の眠気の原因になりかねません。高麗人参の持つ自律神経の調整作用が体内のリズムを整え、不眠にも良い作用をもたらすと考えられます。
高麗人参の副作用
高麗人参は自然の食品であるため、医薬品と比べて副作用の頻度は少ないのですが、使用するときに気を付けた方がいい反応はいくつかあります。特に持病を持っていて、薬を飲んでいる人は主治医に相談してから使い始めた方が良いでしょう。薬との飲み合わせによって、血圧が下がりすぎた、血糖降下剤の効果が増強された、ワルファリンの効果が薄れたなどの相互作用が報告されています。
まとめ
なかなか寝付けない、しっかり寝ても眠気が残る、夜中何度も目が覚めて熟睡できないといった不眠の症状は大変つらいものです。不眠に対する対処法の一つとして、古くから万能薬として知られている高麗人参があり、特にストレスからくる不眠に有効性が認められています。高麗人参の有効成分ジンセノシドは体と精神の調子を整え、不安やストレスを軽減し不眠を改善する効果が期待できます。
高麗人参は、不眠の原因として特にストレスが気になる方に、おすすめの自然食品です。