古くから高麗人参は冷え性など代謝の低下を自覚している患者に効くことが知られており、広く病院でも漢方薬として処方されてきました。その高麗人参の作用機序について、西洋医学の視点から研究がすすめられ、その様々な薬効と高い健康効果が解明されてきています。今回、その高麗人参の主な作用である新陳代謝に対する作用について、説明していきたいと思います。
なぜ新陳代謝を上げた方が良いの?
新陳代謝とは、体の構成要素の中で古くなったものが新しいものへと入れ替わっていくことで、体の機能を保つということです。これを亢進させると、体の老廃物が排出されやすくなり、新しい組織や細胞への置き換わりがスムーズにいくようになります。メリットとしては太りにくい体になることや、メタボリック症候群の予防になります。また、美肌効果やアンチエイジング作用、免疫力の強化も期待できます。
高麗人参で新陳代謝をアップ
高麗人参の新陳代謝に対する効能は、体温の上昇や血流の改善、代謝調整ホルモンに対する効果や自律神経調整効果が関連していると考えられます。これらの効果について詳しく見てみましょう。
高麗人参で体温が上がる
体温が1℃上がると基礎代謝は13%上昇することが知られており、低体温は代謝低下の重要な原因です。高麗人参を摂取すると体温が上昇することが知られていますし、入浴剤として高麗人参をお風呂に入れることで効果的に深部体温を上げてくれます。また、入浴後にも体温の上昇が持続しやすくなる効果があります。
高麗人参を摂取すると血行が良くなる
有効成分であるジンセノサイドなどのサポニンが、末梢血管を拡張するため血行が良くなります。また血小板を固まりにくくする、赤血球が狭い血管を通るときに変形しやすくする効果が認められています。これによって血液のサラサラ効果が期待できます。血行が良くなると、組織への酸素供給と二酸化炭素排出が促進されるため、新陳代謝の亢進に役立ちます。
高麗人参が代謝調整ホルモンに効く
代謝を調整するホルモンとして甲状腺ホルモンがあります。甲状腺ホルモンは、甲状腺で分泌されて全身の細胞に作用して代謝を亢進させます。このホルモンの分泌が低下すると、代謝が下がって冷え性や疲れやすさ、発汗減少、便秘、体重の増加といった症状が現れます。この甲状腺ホルモンに乱れがある人に、高麗人参を摂取してもらったところホルモンバランスが改善し、冷え性の症状が改善したという研究結果が報告されています。高麗人参が甲状腺ホルモンに作用して新陳代謝を改善したといえます。
高麗人参の自律神経調整作用
自律神経は交感神経と副交感神経の二つがあり、交感神経は体の活動性を上げるアクセルのような役割をしています。また副交感神経は体をリラックスさせるブレーキのような役割をしています。この二つが環境からくるストレスに対して自動的に調整しあって体内のバランスをとっています。このバランスが崩れると体温を適切に保つことが難しくなり、代謝が低下します。高麗人参に含まれる30種類ほどにも及ぶサポニンの中には、この交感神経に働くものと副交感神経に働くもの両方がバランスよく含まれており、自律神経を調整するのに有効です。
まとめ
高麗人参が新陳代謝の改善に効く理由を、その作用によって詳しく説明してみました。
高麗人参には様々な作用があり、万能薬とも呼ばれています。今回解説したものは、そのほんの一部であり、まだ解明されていない作用もあると考えられています。この素晴らしい効果を持つ高麗人参を是非生活に取り入れてみてください。